研究内容

教育目標

電気化学の研究活動を通じて、

産業界、学術界、官界で役に立つ人材

ものごとを主体的に考え、自ら行動することができ、全体を俯瞰することができるバランスのとれた人材

世界で活躍する能力を持った人材

 立命館大学生命科学部では、豊かな教養と生命科学分野の幅広い素養を基礎に専門的力量を有し、生命科学と関連分野の発展に寄与するとともに、人間の幸福と自然が調和した持続可能で豊かな社会の実現に貢献する人材を育成することを目的としています。応用化学科は、立命館大学の化学を専門にする唯一の学科として、化学を基盤に、材料科学から生命科学まで広く学び、材料・エネルギーおよび生命系への応用などの社会が求める重要課題に挑んでいます。

無機電気化学研究室は2016年4月にスタートし、身近に使われているリチウムイオン電池、燃料電池を代表とする電気化学デバイスの研究を通じ、ライフサイエンスとしてのエネルギー・環境問題を広い視点から考察でき、世界で活躍できる人材育成を目指しています。

研究目標

基礎的な現象理解をベースにして、次世代の電気化学デバイスを設計する
孫の世代にまで残る実験データを提供する
産業界と連携し、最先端の蓄電デバイスを創出

研究内容

電気化学デバイスは、電気エネルギーと化学エネルギーを相互変換するデバイスであり、スマートフォンやノートパソコン用の電池は、私たちにとって身近な例であります。リチウムイオン電池は生活スタイルを変えただけでなく、深刻化したエネルギー問題、環境問題への解決策として、電池を大型化して自動車用電源に利用、もしくは再生可能エネルギーをため込む蓄電池への大きな期待が込められて2019年ノーベル化学賞受賞に至りました。また、水素エネルギーを活用するための燃料電池や水電解も、電気化学デバイスです。私たちのグループでは、超高性能電池を実用化することを目標として、電池を取り扱っている学問領域である、電気化学、無機固体化学をベースとした、高性能エネルギー変換デバイスの材料設計と反応解析を進めています。

研究テーマ

扱うデバイス:リチウムイオン電池、二次電池、燃料電池、電解

電気化学反応場における機構解明
電気化学デバイスの主な反応場は電極と電解質の界面です。
この領域はナノメートル(10のマイナス9乗メートル)オーダーと推定されており、
現象を捉えることが容易ではありません。
エネルギーと速度の関係を捉える電気化学測定と界面近傍の構造を
直接観測するオペランド計測を組み合わせて、
未知の界面現象解明を目指します


次世代型蓄電池電極材料の設計指針構築

自動車用蓄電池は現在の性能と比較して、2倍以上のエネルギーをため込むことが可能で、安全にかつ長期的に動作することが求められています。蓄電池設計のブレークスルーを起こすために、新型電池の候補材料を合成し、その性能評価および反応を高速化させるためのメカニズム解析を、固体化学の観点から行います。


電極材料の固体内イオン拡散

リチウムイオン電池の電極には、電子もイオンも材料中を動く、混合伝導体が用いられています。この材料中のイオン拡散のしやすさを把握することは、電池設計に重要ですが、これを正確に測定することは容易ではありません。本研究では、イオンの拡散挙動について、放射光X線を用いて可視化し、イオンの拡散係数を計測する手法の開拓を行います。


放射光を駆使したオペランド計測

電気化学反応の進行状態にて、材料の電子状態、結晶構造等を直接的に計測できるオペランド測定を開発します。立命館大学びわこ・くさつキャンパスには日本の私立大学で唯一、学内に放射光実験施設をもっており、学部生の実験からこれを積極的に活用できます。合わせて、SPring-8やJ-PARC等の大型共同利用実験施設においても最新の設備を利用して実験を行います。



研究室はバイオリンク8階にあります。晴れている日は、琵琶湖や比叡山等よい景色が見えます。

日常の実験風景。水分を嫌うリチウムイオン電池はグローブボックス中で作製します。

大型放射光施設SPring-8での実験。電池を動作させながら、内部の可視化を行います。